本好きの巣穴

読書好きな作者が、気の向くままに読んだ本の感想ネタバレしない程度に書いてゆきます。

「小辞譚 辞書をめぐる10の掌編小説」文月悠光 他

お久しぶりです。

今回は「小辞譚 辞書をめぐる10の掌編小説」の感想です。タイトルにある「掌編小説」とはザックリ言うと「短篇小説より短い」という意味です。


読んでみると辞書に関する小説といっても、主に辞書を使う側視点で語られる小説でした。小説は部活青春テイストから歴史小説テイスト、ホラーコメディものまで様々でした。個人的には、藤谷文子の「引っ越し前」が一番良かったと思います。


辞書をテーマにした小説といえば三浦しをんの「舟を編む」が有名ですが、そういった話が好きな方はハマると思います。かくいう自分もハマりました


読んだ後に、読んだ者同士で感想を言い合うのも面白いかもしれません。

貴方にとって面白い小説はなんでしょう。


では、またお会いしましょう!

「モルグ街の殺人」 エドガー・アラン・ポー

今回はエドガー・アラン・ポー「モルグ街の殺人」の感想です。

サン・ジェルマンの人里離れた古い屋敷に住むC・オーギュスト・デュパン(以下、デュパン)は、モルグ街で起きた猟奇殺人事件の容疑者として友人が投獄されたことを知ります。決定的な証拠もないまま投獄された友人を救うため、そして事件の真相を明らかにするため、デュパンはモルグ街へ向かうのですが.....


描写される殺害現場が凄惨かつ奇妙でホラー小説を呼んでいるような気分になりました。

読みきった後の感想としては、多少は推理小説を読んできた私でも「そんなことあり!?」と感じる結末でした。


人並み外れた洞察力を持つデュパンの推理が光ります。

デュパンの推理は彼の相棒に語る形で読者に提供されます。

そのため、相棒を通して読者もデュパンの推理に感動することが出来ます。


この作品は世界初の推理小説と言われています。(※諸説あり)

デュパンに影響され後のホームズ、ポアロ、明智小五郎などの名探偵が誕生して行ったと考えると、デュパンとその生みの親エドガー・アラン・ポーには本当に感謝です。


では、またお会いしましょう!

『「また、必ず会おう」と誰もが言った。』喜多川泰

今回は喜多川泰『「また、必ず会おう」と誰もが言った。』の感想です。


物語はプライドが高い熊本県の高校2年生秋月和也が見栄を張るために同学年の史弥に「ディズニーランドに行ったことがある」とウソをつくことから始まります。行ったという証拠を求められた秋月和也は、ウソを貫くために母親にもウソをつき貰ったお金でディズニーランドへ証拠写真を撮りにいきます。しかし、帰りの飛行機に乗り遅れてしまい、帰るお金もなく途方に暮れます。そこへある人が現れて...。


環境や人物の見た目の描写が短くテンポよく物語が進行していきます。

なので、スキマ時間を使ってサクサク読めます。

所々に、教育者としての作者の意見が登場人物のセリフとして語られます。

登場人物を媒介にして作者が読者に語りかけています。


実は、私 がこの本を最初に読んだのは高校2年生の夏頃で母に勧められて読みました。私と同じ年齢で似た性格の主人公だったからでしょうか、様々な大人との出会いと別れを通して成長する主人公の姿に大いに共感したことを憶えています。


やはり自分と似ている主人公がいると共感しやすいのでしょうか?

この本を勧めてきた母も主人公に共感するところがあったのでしょうか?

だとすると、母も学生時代プライドが高く、意地固なところがあったのでしょうか?


今度母に聞いてみます。


では、またお会いしましょう!